2012年3月13日火曜日

【書評】伊藤計劃さんの「The indifference engine」を読んだ。

ちょっと記憶に自信がないので Twilog を遡ってみたのですが、下記のツイート(2月28日)をリツイートした直後に「予約済み」とつぶやいているのと、Amazonの注文日が2月27日なので、恐らく2月25日発行のSFマガジン4月号に載っていた広告を見て購入したのだと思います。

虐殺器官」と「ハーモニー」がとても面白かったのに、伊藤計劃さんは既に亡くなっている(つまり新作はもう読めない)こと。絶筆の「屍者の帝国」が載っていること。円城塔さんが芥川賞受賞会見で、「屍者の帝国」を引き継いで書いたものがもうすぐ完成することを発表していたこと、などの要因から、発刊を知った瞬間に迷わず予約した記憶があります。

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
早川書房
売り上げランキング: 292

内容的には、「伊藤計劃記録」と「伊藤計劃記録:第弐位相」から、"創作"にあたるものを抜粋・再編集した短編集です。ボクはどちらも持っていなかったので、ちょうどよかったです。



女王陛下の所有物 On Her Majesty's Secret Property

なんと漫画です。伊藤計劃さんは武蔵野美術大学在学中に漫画研究会に所属しており、1999年にはアフタヌーン四季賞の佳作を受賞したこともあるそうです。この話は007シリーズに対するオマージュで、後で出てくる「From the Nothing, With Love.」と世界観を共通しているようですね。

The Indifference Engine

「虐殺器官」と同じ世界設定の中で、少年兵問題を扱った作品です。停戦後に脳をいじられ、対立していた部族と自分たちの部族の見分けがつかなくなってしまったのに、憎しみは消えていないため悲劇が繰り返されるという、なんとも救いのない話。

Heavenscape

コナミのゲーム「スナッチャー」の世界設定を借りた話で、「虐殺器官」のプロトタイプの話です。虐殺の現場に足を踏み入れた時の回想や、母親を失った時の回想(夢)、翼が筋肉でできた飛行機など、「虐殺器官」に出てきたシーンがちょこちょこ出てきます。

フォックスの葬送

同じくコナミのゲーム「メタルギア ソリッド3 スネークイーター」後の世界を描いた話です。残念ながらボクはメタルギアをやったことが無いので、ちょっと話についていくのが難しかったです。近未来SFではなく、ベトナム戦争や東西冷戦を背景にした話。

セカイ、蛮族、ぼく。

冒頭を引用します。
「遅刻遅刻遅刻ぅ~」
と甲高い声で叫ぶその口で同時に食パンをくわえた器用な女の子が、勢い良く曲り角から飛び出してきてぼくに激しくぶつかって転倒したので犯した。
思わず「おい」とツッコミを入れてしまいました。ちょっとコミカルな短編。

A.T.D:Automatic Death ■ EPISODE:0 NO DISTANCE, BUT INTERFACE

こちらも漫画です。解説によると、この話の設定は多くが「虐殺器官」に取り入れられたそうです。

From the Nothing, With Love.

最近ボクは、ロボット研究や神経科学の本を読み漁っていたのですが、そこで何度か出てきた「哲学的ゾンビ」という概念の話が出てきて驚きました。偶然というのは恐ろしい……というか、SF好きな人は似たようなことに興味を持つんでしょうか?ちなみにボクは、この話が一番面白かったです。

解説

「ディファレンス・エンジン」の解説を、円城塔さんとの共作で「ディファレンス・エンジン」そのものを書き直したもの、らしいです。すいません、ボクには全く内容が掴めませんでした。

屍者の帝国

「フランケンシュタイン」をモチーフにしているようですね。円城塔さんがここからどう話を料理したのか、今から楽しみです。


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