2012年3月29日木曜日

【書評】福井健策さんの「著作権とは何か」を読んだ。

岡田斗司夫さんとの対談本「なんでコンテンツにカネを払うのさ?」で、創作者の権利を守る立場の発言やスタンスがよかったので、1冊著書を読んでみたいなーと思って選んだのがこちらの本です。

著作権とは何か ―文化と創造のゆくえ (集英社新書)
福井 健策
集英社
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まさにタイトル通り、著作権とは何かを判りやすく解説した「入門書」です。創作する人、創作物に関わる人、創作物を利用する人で、「著作権とかよく判らない!」という方は、まずこの本を読むといいと思います。新書で200ページちょっとですし、「です・ます調」で平易な文体なので、とても読みやすいです。


第一章は、そもそも著作権で保護される対象である「著作物」の定義についての解説です。例えば、単なる事実やデータは著作物ではないとか、具体的な表現になる以前の「アイデア」は著作物ではないといったことが「なぜ」なのかを具体例を挙げて判りやすく説明しています。

第二章は、著作者の権利についての解説です。一文字違うだけの「著作者」と「著作権者」や、「翻案」によって生まれる「二次的著作物」といった概念についての説明です。

第三章は、模倣とオリジナルの境界について。いわゆる「盗作」について、具体的な事例に基づいて解説しています。スイカ写真事件の顛末は知らなかったので、思わず吹きました。面白い。「ライオン・キング」に対する手塚プロダクションの声明には感動させられます。

第四章は、権利者の許可が無くても利用できる例外規定について。「私的複製」・「パロディ」・「引用」などについての解説です。例えばフランスはパロディが認められているとか、アメリカのフェアユースといった、海外では認められていても日本ではダメという規定が多いので、ここを誤解している方々が多いように感じます。

第五章は、著作権の保護期間について。戦時加算というのはボクも知りませんでした。

第六章は、過剰な著作権保護は、文化の発達を妨げるのではないか?という主張の紹介と問いかけです。

読んでみて改めて感じたのが、著作権に抵触する行為であっても、著作権者の許可さえあれば問題ないという原則がいかに重要か、ということです。とくに第三章から第四章は、盗作・パロディ・引用についての具体的な事例がかなりのボリュームを割いて紹介されているのですが、どれもこれも事前に許可を取っておけば、係争にならなかった事案なんだろうなーということが想像できます。

シェイクスピア劇が実は「種本」の翻案であり、それは著作権法が成立する前だからこそ成立できたものだという事実も、非常に興味深いです。著作権法は創作者の権利を守るためのものですが、あまり厳しく制限されると「文化の発展」の邪魔になりかねないのです。この辺りのバランスが非常に難しいところなんでしょうね。

東方プロジェクトやキャラクター・ボーカロイドシリーズのよう成功事例があるわけですから、著作権者が事前に許諾範囲を示すことが今後のスタンダードになればいいのに、とボクは思います。

いまスタンダードになってしまっている「二次創作の同人誌くらいまでは黙認」というやり方は、会場限定の冊子頒布ではなく「委託販売」や「ダウンロード販売」という手法が生まれてしまった以上、そろそろ限界だと思うのです。無許可な二次創作で稼ぎ、原著作者には何もメリットが無いという状況がいつまでも許容されるとは思えない。
原著作者の「公認」によって、健全な二次創作が行われ、そこから生まれた収益が原著作者に還元できるような道ができて、みんながハッピーになれればいいと思うのですが。

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