2011年11月24日木曜日

今井哲也さんの「ぼくらのよあけ」を読んだ

コミック2巻(完結巻)を発売日に購入、記念にレビューします。ストーリーは読んでのお楽しみということで、ネタバレは極力避けるようにします。



ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)
今井 哲也
講談社 (2011-06-23)




アフタヌーンはマニアックですが面白い漫画が多いんですよね。唯一購入し続けている定期刊行の漫画誌です。「ぼくらのよあけ」は、子どもたちの夏休みがいきいきと描かれた近未来SFで、本誌連載時から続きが楽しみで仕方がありませんでした。

ちなみに1巻のカバー下には、擬人化された人工衛星のイラストとともに「健全小学生SFまんが」と書いてあるんですが、わざわざ「健全」をアピールする必要はあるんでしょうか……いや、確かに間違いなく「健全」なんですけど。



ぼくらのよあけ(2) (アフタヌーンKC)
今井 哲也
講談社 (2011-11-22)


物語は地球へ落下する小さな隕石と、それをカメラに捉える人工衛星という場面から始まります。その出来事から28年後……2038年の夏が物語の舞台です。主人公の沢渡ゆうまを、「オートボット」のナナコが起こしにくる所から物語が動き始めます。表紙に描かれているのが彼らです。

オートボットとは、人工知能を搭載した家庭用アンドロイドで、人間と会話ができ、あらゆる家電のコントロールが可能な通信機能を搭載しています。イラストを見ると判るように、人間には全く似せていません。このデザインがウケたおかげで、オートボットは爆発的に売れているという設定になっています。

本誌掲載時にはこうした細かな設定は説明されていなかったのですが、ゆうまの母親や友人・学校の先生などとの会話の中でそれとなく触れられているため、特に違和感無く読み進めることができます。が、コミックには更に、「ぼくらの未来図鑑」という設定資料が各話の間に挟み込まれています。これは嬉しい。


ハードSFのように技術的背景などが語られているわけではなく、どういった使われ方をしているかという補足をすることで、本作の世界観をより深いものにしています。この空間投影ディスプレイなんてとてもSF的ですが、作中では日常生活の中で当たり前のように利用されている様子が伺えます。

余談ですが、空間投影ディスプレイは既に現実のものになっています。




レーザー光線によって空気中の窒素や酸素をプラズマ化して発光させる技術だそうです。動画では緑1色ですが、赤・青・緑のレーザーを使うことで、カラー化も可能だとか。あと10年もすれば、作中のような使われ方も可能になるんじゃないかと思うとワクワクしてきますね。

さて話に戻ると、ボクが鳥肌が立ったのが、「サブ」という概念と、それによって引き起こされた事件のシーン。サブというのは、簡単に言えば学校裏サイトとツイッターと掛け合わせたようなもので、この世界では小学生でも全員が持っている携帯端末によって、親や学校の目の届かない裏コミュニケーションを図るツールです。

学校生活では排他的な「仲良しグループ」が形成されがちですが、ある登場人物がそこから排除されるシーンが非常に怖い。グループのリーダー格と思われる少女が、「キミ、今日からクラスの敵になったんで、帰ってくれる?」という宣告をするや、今まで頻繁にやり取りをしていたサブでの連絡を全員から拒絶されることになるのです。

無数に開いた空間投影ディスプレイには、全て「BLOCKED」の表示……技術が進化した未来でも、小学生や中学生くらいの年代の「仲良しグループ」の陰湿さは恐らく今と変わらないだろうけど、それがああいう形で視覚化されるんだなーと。ああ、誰かこの話をアニメ化して下さい。こういった印象的なシーンが、とても画面映えすると思うんだよなー。

ちなみに2巻の最後とカバー下には、本誌未掲載の、本編のさらに未来の短編が収録されています。ボクは本を読む時、カバーは外すのですが、2巻のカバー下は本編を読んだ後に見た方が楽しめる、かな?(本編を読まずに見ても、ほとんど意味が判らないとは思いますが)

この後日譚、「続きません」と書いてありますが、いつかどこかで読めたら嬉しいな。今井哲也さんのpixivを見ると、同人活動もしているみたいですが……。

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