2011年10月25日火曜日

【書評】「3・11の未来――日本・SF・創造力」を読んだ

7月26日に亡くなられた小松左京さんからの、「最後のメッセージ」が載っているという帯のキャッチコピーに釣られて購入しました。

3・11の未来――日本・SF・創造力
小松 左京 豊田 有恒 押井 守 山田 正紀 森下 一仁 スーザン ネイピア 長谷 敏司 八代 嘉美 野尻 抱介 桜坂 洋 大原 まり子 新城 カズマ 谷 甲州 瀬名 秀明 小谷 真理 仲正 昌樹 田中 秀臣 新井 素子
作品社
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著者にずらりと並んだ名前は、なかなか壮観ですね。





序文の小松左京さんからのメッセージは、2ページです。正直に言うと、1ページ目を読んで2ページ目を開いた時、そこで終わっているのが判って、「えっ?これだけ?」と感じました。もちろん文章が長ければ良いというわけではなく、短いなりに小松左京さんの思いのこもったメッセージだと思います。帯の「最後のメッセージ」も嘘ではない。しかし、コピーに釣られて買ったボクには、少し拍子抜けでした。

第1部の鼎談、正直言って評論家先生の駆使される怒涛の専門用語攻撃にかなり萎えました。IT関連の技術者やMBAかぶれの人にも多いのですが、難解な言葉を濫用して知らない人を煙に巻くというのは、そのジャンルを敬遠させる原因の1つだと思います。豊田有恒さん、瀬名秀明さんの文章は、それぞれの視点から非常に考えさせられ興味深かったので、こういう文で第1部を固めれば良かったのに、と思いました。

全体の中では「思想地図β vol.2」にも寄稿していた八代嘉美さんの文章が印象的で、ボクにも非常に頷ける内容でした。

実際に科学に関わる者は、先端の科学に「正解」と言われるものはないことを知っている。存在するのは、その時点で、最も合理的に説明できる「共通理解」でしかなく、その理解も反証が出現すれば覆る。

しかし圧倒的多数の「科学に関わらない者」は、「科学に関わる者が『科学は絶対的なものだ』と捉えている」と勘違いしてしまいがちです。逆に、あらゆる可能性を否定しない科学者の態度に背を向け、判りやすい紋切り型の喋り方で不安を煽っていくる人を信望してしまう人も多いように感じます。

(SFも科学も)地球に何が起こるのか、私たち人類がどう動くのかを、血も涙もなく冷徹に分析して描き続けていくこと、そのことが読む人にいくども絶望と希望とを与え続けてくれるだろう。

これは、野尻抱介さんがブログで言ってる「人でなし」と同じようなニュアンスなのでしょう。

人でなしの福島紀行(前編)
http://d.hatena.ne.jp/nojiri_h/20111007/1318015365

また、小松左京さんがその昔、琵琶湖の水質汚濁について「2億年も経てば元に戻る」と言っていたのとも同じようなニュアンスなのでしょう。それが「科学的に考える」ということなのだと思います。

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